スイス製薬大手のロシュ(バーゼル)は25日、遺伝子治療薬を手がける米スパーク・セラピューティクスを買収することで合意したと発表した。遺伝子治療薬部門の強化が狙いで、買収額は43億ドルに上る。
1株当たりの買い取り価格は114.5ドル。前営業日(22日)の終値に122%上乗せした水準となる。今年4~6月期の買収手続き完了を予定している。
スパークは13年創業の遺伝子治療薬に特化した新興企業。レーバー先天黒内障と呼ばれる重症の網膜変性疾患の治療薬「ラクスターナ」で知られる。血友病Aの治療薬「SPK-8011」、ポンペ病といった神経変性疾患の治療薬などの開発も進めている。
遺伝子治療薬は収益性が高く、たとえば「ラクスターナ」を使う治療の費用は片方の眼で42万5000ドル。両眼を治療すると85万ドルに達する。このため、世界の大手製薬企業は同部門の強化を進めており、スイスのノバルティスは昨年、遺伝子治療薬の米エイベックシスを87億ドルで買収した。ロシュも追随する格好となる。
ロシュは主力の抗がん剤「リツキサン」「ハーセプチン」「アバスチン」の販売が後発医薬品(ジェネリック)の攻勢で落ち込んでいる。スパーク買収によって、収益基盤を強化したい考えだ。