独高級車大手のBMWとメルセデス(ダイムラーの乗用車部門)がプラットホーム(車台)の共有に向けて協議しているもようだ。両社はすでに部品の共同調達、情報通信技術を利用した移動サービスで協業。2月には第2世代の自動運転技術の開発で基本合意しており、車台共同化の協議がまとまれば、協力分野はさらに増えることになる。『南ドイツ新聞(SZ)』が関係者への取材をもとに15日、報じた。両社は報道内容へのコメントを控えている。
同紙によると、協議は高レベルで行われており、両社の開発担当取締役であるオラ・ケレニウス氏(メルセデス)とクラウス・フレーリヒ氏(BMW)も会合で顔を合わせたという。
車台共有を両社が検討するのは、車両の電動・IoT化などを背景に開発コストが膨らんでいるためだ。車台を共同化すれば両社はそれぞれ70億~80億ユーロのコストを削減できる。メルセデスの管理職は「我々はコストを削減しなければならない」と明言した。
SZ紙によると、自動車メーカーは一般的に、1つの車台を7~8年用い、800万~900万台の車両を生産する。この間の生産台数が予定を大幅に下回ると採算が取れない。自動車市場では近年、SUVの需要が大きく伸びる一方で、コンパクトカーなどは縮小傾向にあることから、車台が採算割れとなる恐れが高まっている。車台を共有すればこのリスクに対応できるというメリットがあることも、両社を協業協議へと駆り立てた。
車台開発の役割分担は未定だが、BMWが小型車から中型車、メルセデスが中型車から大型車を担当する方向のようだ。
BMWとメルセデスは高級車市場でトップ争いを繰り広げる競合であることから、車台を共有すると両ブランドの個性が弱まる懸念がある。このため車台共有に踏み切る場合は、それぞれのブランドの個性を明確化するために両社とも20億ユーロ程度の投資が必要になるという。
協議は最終的に決裂する可能性もある。また、車台の共有化に踏み切る場合でも、幅広い車種を対象とするのか、差し当たり一部の車種に限定するのかは定かでない。協議は6月末まで行うことになっている。