欧州連合(EU)加盟国は10日の臨時首脳会議で、英国のEU離脱期限を10月31日まで延期することで合意した。2日後の12日に取り決めがないまま離脱する「合意なき離脱」を回避し、英国議会が離脱協定案を承認するための時間を稼ぐ。ただ、協定案が承認されるめどは立っておらず、離脱をめぐる情勢はなお流動的だ。
メイ首相は臨時首脳会議で、6月30日までの延期を要請した。これに対して、トゥスク大統領は英政府と議会の合意には時間がかかるとして、最長1年の延期を提案。迷走する英国に厳しい姿勢を示すフランスのマクロン大統領が長期の延期に異議を唱えた結果、10月末までの延期という妥協案がまとまり、メイ首相も受け入れた。マクロン大統領の反発に考慮し、延期には◇5月23~26日に予定される欧州議会選までに離脱しない場合は、英国が同選挙に参加する◇参加しない場合は6月1日に離脱する◇英国はEU残留中にEUの政策決定を妨害しない――という条件をつけることも決まった。
メイ首相は英国の欧州議会選参加に難色を示してきたが、合意なき離脱の回避を優先するため、受け入れざるを得なかった。首相は離脱期限が10月末まで延期されるものの、できる限り早期に議会から離脱案の承認を取り付け、選挙に参加しないまま円滑に離脱することを目指すとしている。