自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は今年末に市場投入する次世代「ゴルフ」を当初、標準装備車に限定する意向だ。開発が遅れているためで、オプション機能搭載車の投入を先送りする。週刊誌『シュピーゲル』が社内文書をもとに12日に報じ、同社が追認した。
VWは8代目となる新ゴルフを今年、8万台生産する計画だった。だが、電気系統の開発でトラブルが続出していることから、1万台強へと引き下げる。
問題の発生件数は昨年4月の2,310件から8月に4,111件へと拡大した。現在は1万5,000件に達している。同誌は、次世代ゴルフの電気系統が複雑なほか、排ガス不正問題と欧州連合(EU)の新排ガス検査方式への対応の遅れを受けて開発能力が不足していることが原因と推測している。
同社が標準装備車だけでも年内に市場投入する背景には、欧州衝突安全テスト「ユーロNCAP」の基準が来年から大幅に厳格化されることがある。厳格化前にテストをクリアして最高評価の5つ星を獲得する狙いという。