メルク―米バースーム買収で正式合意―

製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は12日、半導体材料大手の米バースームを買収することで最終合意したと発表した。バースームは米特殊化学大手インテグリスと合併合意していたが、メルクがより高い買収条件を提示したことから、方針を転換した。メルクはバースームの臨時株主総会と当局の承認を経て買収手続きが下半期に完了すると見込んでいる。

メルクは2月末、株式交換を通したインテグリスとの合併を取り決めていたバースームに買収提案を行った。1株当たりの買収金額は現金48ドルで、バースームの株主にとってはインテグリスとの合併より好条件だった。だが、バースームの経営陣は受け入れを拒否。メルクがこれを受けて敵対的な株式公開買い付け(TOB)に踏み切る意向を示したところ、協議に応じる姿勢へと転換した。

メルクは協議のなかで買収価格を1株53ドルへと引き上げる意向を示した。バースームはこれを受けて8日、インテグリスが11日までに新たな提案を行わなければ、メルクによる買収を正式に支持する意向を表明。インテルグスが新たな提案を提示しなかったことから、今回の契約を締結した。

メルクはバースームを約58億ユーロと評価して買収を行う。企業価値(EV)が2019年の減価償却前営業利益(EBITDA)の何倍に当たるかを示すEV/EBITDA倍率は約13.7倍。

メルクは声明で、米アリゾナ州テンピにあるバースームの拠点を同国における電子材料分野の共同事業センターとする意向を表明した。