電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は4月30日、イラクの電力インフラ再建に向けた契約を同国政府との間で締結した。エネルギーの安定供給実現を通してイラクの復興を支援する。ベルリンで開催された調印式にはドイツのアンゲラ・メルケル首相とイラクのハイダル・アル・アバーディー首相が立ち会った。
イラクは1980年の対イラン戦争以降、相次ぐ紛争や経済制裁、イスラムテロを受けてインフラが悪化している。経済再建にはインフラの整備が欠かせないことから、政府は巨額の投資を計画。シーメンスは昨年10月、計11ギガワット(GW)の発電能力を設置するほか、必要な資金の調達や人材教育の面でも協力することで基本合意していた。
今回の契約では高効率な発電所の新設と既存発電所の修理・近代化、送配電網の敷設を正式に取り決めた。シーメンスはその第一弾として約7億ユーロの受注を獲得。出力500メガワットのガス発電所をズバイディア(Zubaidiya)に建設するほか、ガスタービン40基を近代化する。また、変電所13カ所に変圧器34個を設置する。