高級テレビ製造の独レーベは3日、民事再生手続きの適用をコーブルク区裁判所に申請したと発表した。市場環境が厳しさを増し業績が悪化しているため。同手続きにより現経営陣の主導権を維持できるようにしたうえで再建を進める。
テレビ業界では激しい価格競争が繰り広げられている。低価格の製品であっても機能は向上しており、高級テレビ市場は今年第1四半期に20%も縮小した。レーベは2017年、数年ぶりに営業黒字転換を果たしたものの、18年は再び赤字へと転落しており、先行き見通しは厳しい。
同社は2月、東洋一通商と戦略提携合意した。世界的な大手メーカーとの競争を生き残るために策定した経営戦略に基づく措置で、コスト削減と国際市場の開拓を強化する。
東洋一は2015年以降、レーベに液晶テレビ用パネルモジュール(LCM)を供給してきた。今年からはレーベとの関係を一段と強化。顧客企業が用いる部品・資材を所有・管理するベンダー管理在庫(VMI)サービスをレーベに提供するとともに、独クローナハにあるレーベ本社工場内に生産倉庫を設置し、ジャストインタイムで資材を供給する。これにより両社の調達が共同化されることから、レーベは調達コストを圧縮するほか、調達から他の分野へと経営資源を振り向けられるようになる。
両社はこのほか、ネット接続器機能を持つスマート娯楽家電向けのシステム部品を共同開発することでも合意した。東洋一は製造事業も手がけており、両社はシナジー効果を引き出す考えだ。
レーベは今回、テレビ専門メーカーからスマート娯楽家電のシステム提供者へと脱皮するとともに、業務の絞り込みと国際的な企業との協業強化を通して組織のスリム化を進める意向を改めて表明した。