自動車大手のダイムラー、航空部品製造のプレミアム・アエロテック、積層造形装置(3Dプリンター)を手がけるEOSの独3社は4月30日、積層造形(AM)の量産技術確立に向けたパイロットプロジェクトが成功裏に終了したと発表した。積層造形が広く普及するうえでネックとなっていた製造コストの大幅な引き下げを実現した。
3社は2017年5月、次世代積層造形技術を確立するためのプロジェクト「NextGenAM」を立ち上げた。アルミ粉末の供給から造形後の後処理までの一連の生産工程を全面自動化することにより、生産コストの低減と量産化の可能性を探る狙いからだ。積層造形では、実際の造形工程の前後のプロセスが生産コストの約70%を占める。
3社は独北西部のファーレルにあるプレミアム・アエロテックの技術センターにパイロット設備を設置した。同設備では積層造形とその前工程である製造データと粉末原料の準備、後工程である熱処理、品質チェック、ビルド・プラットフォームからの部品の取り外しを全自動で行える。
プロジェクトでは従来の積層造形技術に比べて生産コストを最大50%引き下げることに成功した。生産能力を必要に応じて拡張できることから、量産向けに投入すれば規模の効果でコストをさらに圧縮できる。
ダイムラーは同プロジェクトで生産したトラックエンジン用の部品(ブランケット)をすでに実地に投入した。乗用車向けに投入することも検討する。交換部品や限定生産車・試作車向けの部品でコストを大幅に削減できるとみている。