独自動車大手ダイムラー(シュツットガルト)のオラ・ケレニウス次期社長は13日、二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を乗用車部門メルセデスベンツ・カーズで2039年までに実現するとの目標を打ち出した。自動車のCO2排出に対する規制や社会の批判が強まっていることを踏まえたもので、車両の電動化や再生可能エネルギーの利用拡大を通して実現する意向だ。自動車部品大手の独ボッシュもカーボンニュートラルを20年に実現する見通しを9日に明らかにしており、温暖化防止に向けた取り組みでドイツ企業が世界をリードする構図がにわかに浮かび上がってきた。
ダイムラーはカーボンニュートラルを幅広い分野の取り組みを通して実現する考えで、乗用車販売に占める電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の割合は30年までに50%以上へと拡大する。生産面では欧州の全工場の使用電力を22年までに再生エネへと切り替える。
サプライヤーにもCO2の排出削減を求めていく方針で、サプライヤーがどのような方法で同削減を実現できるかを協議。CO2削減目標で一定基準を満たしたサプライヤーからのみ部品を調達することにする。
顧客が電動車を購入しても、火力発電で作り出された電力を利用したのではカーボンニュートラル効果を得られないことから、同社は再生エネに特化した充電スタンドを顧客がアプリで簡単に探し出せるようにするなどの取り組みを行う。
欧州連合(EU)は走行1キロメートル当たりの乗用車のCO2排出量を21年までに現在の平均130グラム以下から同95グラム以下に抑制する計画。30年には21年に比べてさらに37.5%引き下げることを目指している。これらの目標を達成するために各メーカーはEVなど電動車への移行を急いでいる。