自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)が17日発表した4月のグループ販売台数は前年同月比6.6%減の86万6,400台となり、下げ幅は前月の4.3%から拡大した。減少は8カ月連続。景気低迷と地政学リスクを背景に世界の主要市場が軒並み縮小したことが響いた。1~4月の累計は347万2,000台で、前年同期を3.7%割り込んだ。
4月販売を地域別でみると、アジア太平洋は前年同月比10.5%減の32万2,000台と大きく落ち込んだ。同地最大の中国も9.6%減の30万2,600台と振るわない。同国では米国との通商摩擦を背景に景気が悪化していることを受けて4月から付加価値税が引き下げられたが、その効果は同社の新車販売に今のところ反映されていない。
足元の西欧も2.7%減の32万5,100台へと後退した。主力のドイツは6.3%減の11万8,200台と減少幅が大きい。比較対象の前年同月はディーゼル車の走行制限懸念を受けた特別下取りキャンペーンで需要が押し上げられており、その反動が出た格好だ。
中東欧は1.5%増の6万9,700台となり、主要市場のなかで唯一、増加した。ロシアは7.0%増の2万200台と好調だった。
北米は7万6,600台で、4.1%減少した。販売は3カ国すべてで縮小。メキシコでは縮小幅が8.0%に上った。同地最大の米国は3.7%減の5万1,700台だった。
南米は6.4%減の4万8,600台へと落ち込んだ。主力のブラジルは8.3%増の3万6,800台へと拡大したものの、アルゼンチンが46.2%減の6,700台と大きく後退。全体を強く押し下げた。
主要ブランドでは商用車のスカニア(18.2%増の8,900台)、乗用車のポルシェ(11.2%増の2万5,200台)、セアト(1.8%増の5万1,000台)を除いて減少。販売台数がダントツで多いVWブランド乗用車は6.2%減の48万7,400台、高級乗用車アウディは12.8%減の14万300台、チェコ大衆車子会社シュコダは10.5%減の9万5,900台へと落ち込んだ。商用車のMANは0.5%減の1万1,800台、VWブランド商用車は4.3%減の4万4,500台だった。
1~4月の販売台数を地域別でみると、主要市場で増加したのは西欧(0.1%増)だけで、そのほかはすべて落ち込んだ。減少幅はアジア太平洋で7.6%、北米で2.5%、中東欧と南米で各0.3%に上った。中国は7.1%減の124万9,200台だった。
ブランド別ではスカニア(7.6%増)、MAN(7.0%増)、VWブランド商用車(5.5%増)とセアト(7.0%増)が増加。そのほかはVWブランド乗用車が4.9%減、アウディが5.9%減、シュコダが4.8%減、ポルシェが6.1%減だった。