温室効果ガスの衛星観測で日欧が協業

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州気象機関(EUMETSAT)は14日、「温室効果ガスのリモートセンシング及び関連ミッションに関する協定」を独ダルムシュタットで締結した。2015年12月の気候変動枠組条約第21回締約国会議(UNFCCC COP21)で採択されたパリ協定の目標実現に向けて、温室効果ガスの衛星観測分野で協力する。

パリ協定では「世界的な平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力をすること」が取り決められた。その実現に必要となるデータを得るため、締約国は統計データから算出した自国の温室効果ガス排出量の一覧表(インベントリ)を作成し、報告することが義務づけられている。

地球全体を均一に測定できる衛星から得られたデータは、地上観測で得られたデータを補完し、各国が報告するインベントリの正確性を確認する科学的根拠となることから、JAXAとEUMETSATは今回の協定を結んだ。

具体的にはJAXAの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」「いぶき2号」とEUMETSATの地球観測衛星などから得られるデータの精度向上に共同で取り組むとともに、衛星観測データの均一性を図る。今回の協定締結により、排出源に近い地表面付近の温室効果ガス濃度分布の推定に必要な衛星データの精度を向上させるための協力体制が構築されたことから、国をまたいだ地球規模での観測体制が一段と進展する見通しだ。

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