欧州中央銀行(ECB)は6日の定例政策理事会で、2019年以降としていた利上げを20年半ば以降に先送りすることを決めた。景気減速の懸念が強まっているためで、緩和的政策を当面は続ける。量的金融緩和の再開も視野に入れる。
ECBは2015年3月、ユーロ圏のデフレ回避と景気下支えを目的に、ユーロ圏の国債などを買い入れる異例の量的金融緩和を開始。欧州で緩やかな景気回復が続いていることから、昨年末に打ち切った。また、ECBは主要政策金利を0%とし、中銀預金金利をマイナス0.4%まで引き下げている超低金利政策についても、19年夏以降の利上げを目指していた。
しかし、米中貿易摩擦の激化や中国など新興国の景気減速、英国のEU離脱をめぐる混迷などで景気見通しが悪化していることから、ECBは3月に年内の利上げを断念した。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「少なくとも20年上期までは現行の金利水準を維持する」と伸べ、利上げ時期を再び先送りする意向を表明した。
ドラギ総裁は景気を下支えするため、ECBが「あらゆる手段を行使する用意がある」と発言。同日の理事会で一部のメンバーが、量的緩和の再開やマイナス金利のさらなる引き下げの可能性に言及したことも明らかにし、緩和的な姿勢を強調した。
ECBは3月の理事会で、銀行の貸し渋り対策として14年から17年にかけて実施した「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)を9月に再開し、2021年3月まで実施することを決定済み。今回の理事会では、これにマイナス金利を適用することを決めた。