ライフサイエンス大手の独バイエル(レバークーゼン)は6月26日の監査役会で、同社製除草剤「グリホサート」をめぐる問題への対応体制を構築することを決議した。同剤の発がん性を認める評決が米国の複数の裁判で下され、株主から強い批判が出ていることを踏まえた措置。裁判や和解手続きで最適な対策が取れるようにする狙いだ。
具体的には監査役会内にグリホサート問題に取り組む委員会を設置する。同委員会は労使代表の監査役それぞれ4人で構成。取締役会から同問題に関する情報や訴訟戦略の提案を受けて、協議を行う。
同問題に関する顧問として製造物責任訴訟で実績のある米国のジョン・H・ベイスナー弁護士を招へいすることも決めた。同弁護士は新設した委員会の議論に参加し、アドバイスを行う。
バイエルは米農業化学大手のモンサントを昨年6月に630億ドルで買収した。それに伴いモンサントの除草剤グリホサートを取得した。
同剤は除草効果が高く世界的に広く投入されているものの、近年は発がん性の疑いを指摘する声が強くなっている。米国ではグリホサートの使用でがんを発症したとして1万3,400人が提訴。5月中旬にはカリフォルニア州アラメダ郡高等裁判所の陪審団がバイエルに総額20億5,500万ドルの支払い命じる評決を下した。同社の敗訴は現時点で3件。グリホサート問題が響いてバイエルの株価は大きく下落している。