化学大手の独エボニックと蘭DSMは10日、魚の油に多く含まれているオメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を海藻から量産するための合弁施設が米中部ネブラスカ州のブレアで操業を開始したと発表した。サケ養殖用EPA・DHAの世界需要の15%を製造できる。
両社は2015年、海藻由来のEPA、DHA製品と製造プロセスの開発で合意。米サウスカロライナ州キングスツリーにあるDSMの工場でサケ用製品の少量生産に成功した。これを受けて折半出資の合弁会社ヴェラマリスをオランダに設立したうえで量産することを取り決め、17年にブレア工場の建設を開始した。両社合わせて2億ドルを投資した。
EPAとDHAは人間や家畜、魚の健康維持に欠かせない物質で、現在は魚から生産されている。世界の生産量は年100万トン。生産量をさらに増やすと魚資源が減少する恐れがあることから、需要の拡大に対応するためには魚に代わる原料の供給源開発が必要となっている。現在は養殖向けに年1,600万トンもの天然魚が捕獲されているという。