Siemens:シーメンスの東独工場を地域振興の拠点に

電機大手の独シーメンスとフラウンホーファー協会、独東部のザクセン州は15日、同州東部のゲルリッツ市にあるシーメンス工場の敷地内に地域経済の振興に向けた施設を設置することで基本合意した。将来性の高い技術分野の企業や研究機関を招致し、同市を中心とするラウジッツ地方の経済を活性化する狙いだ。

シーメンスは2017年11月、ラウジッツ工場の閉鎖を決定した。二酸化炭素(CO2)を大量に排出する火力発電のニーズ縮小が見込まれるなかで、蒸気タービンを手がける同工場を存続させることは経営上、得策でないと判断したためだ。

だが、同計画が発表されると、従業員が大規模な抗議活動を展開。政治家からも強い圧力があったことから、同社は18年5月に存続方針へと切り替えるとともに、斜陽化するラウジッツの経済活性化に向けた措置を同州政府などと協同で検討。今回の基本合意を取り決めた。

具体的には同工場敷地内にハイテク企業やスタートアップ企業、研究機関が活動するための施設を開設する。デジタル化、自動化、エネルギー技術、画期的な材料・製造技術分野の企業などを一カ所に集めることで、シナジー効果を引き出す考えだ。

シーメンスとフラウンホーファー協会はこれとは別に、水素の製造、貯蔵、利用に関する研究拠点を同敷地内に開設する。第一段階として約3,000万ユーロを投資。今後5年で研究者およそ100人を採用する。

シーメンスはまた、生産に伴うCO2の排出を削減するための研究・開発事業を同敷地内で強化する。水素技術を用いて◇エネルギー集約型企業がCO2の排出量を削減できるようにする◇環境に優しいエネルギー貯蔵技術を開発する――考えだ。ゲルリッツ工場については、CO2の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロとなる「カーボンニュートラル」を2025年までに実現する意向だ。

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