自動車部品大手の独コンチネンタル(ハノーバー)は17日、独東部のケムニッツ工科大学と共同で燃料電池の検査施設を同大キャンパス内に開設した。効率性と経済性の高い燃料電池スタック(同電池の最小単位であるセル)を量産するための技術などを獲得する狙い。同社は燃料電池車(FCV)が将来、電気自動車(EV)などとともに交通手段として大きな役割を果たすとみて、燃料電池の開発に取り組んでいる。
同施設の中心となるのは燃料電池の性能をテストする高性能な検査台だ。出力150キロワットの電池まで対応できる。将来的には300キロワットへと引き上げることを視野に入れている。同施設はコンチネンタル以外の企業も利用できる。
コンチネンタルは同施設で、気温や湿度、圧力比、山道、積み荷の重さなど様々な条件をシミュレーションして燃料電池の性能をテストする。具体的には、反応ガスの供給流路が彫り込まれたバイポーラプレートという燃料電池スタックの基幹部品の開発に取り組むことを明らかにした。エネルギー密度の高いバイポーラプレートの量産技術を確立することが最終的な目標だ。このほか、燃料電池の効率を引き上げる制御機器・アルゴリズムの開発も進める。
将来の自動車をめぐっては現在、EVが最有力視され、独自動車メーカーはフォルクスワーゲン(VW)を筆頭に開発と市場投入を急いでいる。だが、EVは航続距離が短く充電時間が長いという問題のほか、大型車では大量の電池が必要になるというネックも抱えている。このため、大型車や長距離を走行するトラックでは動力源に燃料電池を用いた方がよいとの見方が根強い。