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2019/8/28

総合 - ドイツ経済ニュース

企業景況感12年11月以来の低水準に、景気後退懸念強まる

この記事の要約

部門別でみると、製造業では現状判断と期待指数がともに下落した。

流通業でも現状判断と期待指数がともに落ち込んだ。

建設業では現状判断がやや悪化したものの、期待指数は横ばいを保った。

Ifo経済研究所が26日発表した8月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を1.5ポイント下回る94.3となり、2012年11月以来の低水準を記録した。低下は5カ月連続。第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)は減少しており、Ifoのクレメンス・フュスト所長は、GDPが2四半期以上連続して縮小する景気後退局面に入る可能性が高まってきたとの見方を示した。

現状判断を示す指数が2.3ポイント減の97.3、今後6カ月の見通しを示す期待指数が0.8ポイント減の91.3へと落ち込んだ。両指数とも減少は5カ月連続。

部門別でみると、製造業では現状判断と期待指数がともに下落した。特に期待指数では見通しが「良い」とする回答の割合から「悪い」との回答を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI)がマイナス17.1ポイントとなり、リーマンショックに端を発する世界的な金融・経済危機のただ中にあった09年5月(-24.7ポイント)以来の低水準を記録した。同指数がマイナスとなるのは9カ月連続だ。

サービス業では現状判断が大きく下落。期待指数も前月を割り込んだ。

流通業でも現状判断と期待指数がともに落ち込んだ。特に卸売業で不振が目立つ。

建設業では現状判断がやや悪化したものの、期待指数は横ばいを保った。

外需が内需のプラス効果打ち消し

一方、連邦統計局が27日発表した第2四半期国内総生産(GDP)統計の詳細によると、前期比の実質成長率(物価・季節要因・営業日数調整値)は速報値と同じマイナス0.1%だった。内需は拡大したものの、外需(輸出-輸入)が強く足を引っ張った。

内需は0.5%増加した。増加幅が大きかった項目は「その他の投資」(1.0%)、設備投資(0.6%)、政府最終消費支出(0.5%)。民間最終消費支出(個人消費)は0.1%で、前月の同0.8%から大幅に縮小した。建設投資は暖冬で好調だった前期の反動で前期を1.0%割り込んだ。

輸出は1.3%減となり3四半期ぶりに後退。輸入も0.3%落ち込んだ。

GDP成長率マイナス0.1%に対する寄与度が最も大きかった項目は在庫調整で、0.3ポイントに上った。個人消費と政府最終消費支出はそれぞれ0.1ポイント。設備投資は0.0ポイント、建設投資はマイナス0.1ポイントで、内需全体では0.5ポイントに上った。外需がマイナス0.5ポイントに達したことから、内需のプラス効果が完全に打ち消される格好となった。

粗付加価値は物価調整後の実質で前年同期比0.1%減となり、縮小へと転じた。製造業で4.9%減と大きく落ち込んだことが響いた。情報・通信は3.3%、建設は2.8%、金融・保険は2.6%の幅で増加。流通・運輸・宿泊飲食も1.2%増えた。企業向けサービスは製造業の低迷が響いて0.5%増と小幅な伸びにとどまった。