雇用主と被用者が結ぶ有期雇用契約は法律で認められた客観的な理由がない限り、合計の期間が最大2年に制限されている。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に明記されたルールで、雇用期間が計2年を超えた場合は原則として正社員にしなければならない。契約更新の回数は3回が上限であり、これを超えた場合は合計の契約期間が2年以内でも正社員にしなければならない。
また、同じ雇用主に以前、雇用されていた被用者については以前の雇用期間を新たな労働契約に反映される。このため、有期雇用期間の合計が2年を超えた場合は正社員化しなければならない(同項第2文)。これは2年間の雇用後に休止期間を置いて再び有期契約を結ぶという形で有期雇用が事実上、無制限に続くのを防ぐためである。
この第2文に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決(訴訟番号:7
AZR
452/17)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は公共機関に有期契約で勤務していた被用者が同機関を相手取って起こしたもの。原告は1991年10月22日から92年11月30日までの1年1カ月強、被告機関で勤務していた。その後2014年10月15日付で再び被告に採用された。雇用期間は当初、15年6月30日までとなっていたが、その後16年6月30日まで延長された。
原告はこれを受けて、90年代も含めると被告での勤務期間が計2年を超えると主張。雇用期限のない正職員としての採用を求めて提訴した。
原告は二審で勝訴したものの、最終審のBAGは連邦憲法裁判所(BVerfG)が昨年9月に下した決定(1
BvL
7/14、1
BvR
1375/14
)を根拠に逆転敗訴を言い渡した。
憲法裁は決定理由でまず、有期雇用を制限するTzBfG14条2項の規定は雇用主に対し構造的に弱い立場にある被用者を保護するという「職業の自由」(基本法=憲法12条1項)から生じる国の義務に沿ったものであるなどとして、同規定の合憲性を確認。そのうえで、◇以前の雇用が終了した時点から再雇用までのブランクが極めて長い◇再採用した社員に任せる業務の内容が以前の雇用時とは全く異なる――場合は、以前の雇用期間を再雇用の際に算入する規則が適用されないとの判断を示した。
BAGの裁判官は憲法裁のこの判断を踏まえ、原告の以前の雇用終了時点から再雇用時までのブランクが約22年と長いことを指摘し、TzBfG14条2項第2文の規定は適用されないとの判断を示した。被告に原告を正職員として採用する義務はないと言い渡したわけである。