Fujitsu:コメ銀が富士通の技術活用、証券組み合わせの最適化を実証

富士通は8月30日、独コメルツ銀行の研究機関マイン・インキュベーターが、量子現象に着想を得た組合せ最適化問題を高速に解く富士通の計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を活用し、成果を上げたと発表した。マイン・インキュベーターはカーリース契約の証券について、自社のローンポートフォリオを最適化する実証(PoC)を行った。

自動車メーカーは流動資産の管理を最適化するためにカーリース契約を証券化して投資家に売却する。一方、投資家はこれらの証券をリスクなどの特性ごとに分類し、銀行などと取引する。今回のPoCでは、これらの発行された証券の最適な組み合わせをデジタルアニーラで導き出し、将来の見込みについて有益な結果を出したという。

現在の標準的なプロセッサーを用いて複雑な組合せ最適化問題の結果を導くには、非常に膨大な時間がかかる。量子コンピューターは全ての組み合わせを同時に処理し、瞬時に結果を導くようになると期待されているものの、その実用化には数十年かかると言われている。

デジタルアニーラはデジタル回路を用い、量子現象に着想を得て開発されたもので、組合せ最適化問題を高速に解くことができる。富士通は「マイン・インキュベーターのPoCでは、実業務においてもそれが実証された」としている。

マイン・インキュベーターの技術担当者は、富士通の展示会「富士通フォーラム東京」でデジタルアニーラについて初めて知ったと指摘。それからわずか1カ月で今回の成果を出したことを高く評価した。

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