フランクフルトを中心とする地域で事業を展開するタウヌス貯蓄銀行とフランクフルト人民銀行(信用組合)が支店の大部分を統合する。競合関係にある貯蓄銀と信用組合が支店を本格的に統合するのはドイツで初めて。支店利用者の減少で協力を余儀なくされ格好だ。週刊誌『シュピーゲル』などが報じ、両行が8月30日に追認した。
タウヌス貯蓄銀行はフランクフルト北部の保養地バート・ホンブルクに本店を置く金融機関で、富裕層が多いタウヌス地方を中心に業務を展開している。支店数は45。
フランクフルト人民銀行は金融都市フランクフルトに拠点を置き、同市と周辺地域でサービスを展開している。人民銀行ではドイツ2位の規模を誇る。
ネットバンキングの利用増を受けて、金融機関の支店を利用する顧客は減少し続けている。このため支店網の保持は銀行の大きな重荷となっており、支店削減の動きは止まらない。ただ、ネットバンキングを利用しない顧客が高齢者層を中心に多いことから、支店を極端に減らすと金融サービスを手軽に受けられない消費者が多数、出るようになる。この問題は人口希薄地域ですでに大きな問題となっており、テレビ番組などでしばしばクローズアップされている。
両行はこうした現状を踏まえ、支店の多くを共有することを決定した。共通支店を「金融ポイント(フィナンツプンクト)」の名で週4日、運営する。業務は両行の行員が交互に行う。両行のロゴは使わない。
この措置に伴い両行合わせて500万ユーロを投資するものの、店舗と行員数を削減することから年間コストをそれぞれ数百万ユーロ圧縮できる見通しだ。