電機大手の独シーメンスは9日、デジタル技術を用いた地域配電網のスマートな制御を実現するためのパイロットプロジェクトを、ハンブルク州立配電網会社シュトロームネッツ・ハンブルクと共同実施すると発表した。電動車が今後広く普及すると、配電網に過度の負担がかかり、停電する恐れがあることから、そうした事態を低コストで回避する技術を確立する狙いだ。
電動車の充電は主に自宅で行われると予想されている。また、昼間は車を使用することから、充電は夜間に集中する可能性が高い。その場合、地域の配電網に過剰な電力が流れて停電に発展するリスクが高まる。
そうした問題は配電ケーブルや変圧器、開閉装置を強化することで回避できるものの、労力とコストがかさむというネックがある。
シーメンスとシュトロームネッツ・ハンブルクはこれを踏まえ、配電網をデジタル技術で監視・制御するシステムのテストを行う。具体的には地域の配電ステーションにスマートな監視・制御ユニットを組み込み、配電網に過度な負担がかかった場合は各家庭などの電動車充電設備を自動制御。充電電力を抑制するようにする。3年間に渡ってプロジェクトを行う。