化学大手の独BASF、資源大手の仏エラメット、廃棄物処理大手の仏スエズは11日、車載リチウムイオン電池の新しいリサイクルシステムの確立に向けて協業すると発表した。電動車の増加に伴い車載電池のリサイクル市場が今後、急速に拡大すると予想されることから、その需要に対応できる体制を整備。限りある資源を節約するとともに、電池原料を欧州で安定確保できるようにする。
「車載リチウムイオン電池リサイクリング(ReLieVe)」というプロジェクトを立ち上げる。投資資金は470万ユーロで、同3社、および欧州連合(EU)の主導で設立されたコンソーシアム「EITローマテリアルズ」が拠出する。
プロジェクトでは廃リチウムイオン電池の回収から、電池材料であるニッケル、コバルト、マンガン、リチウムの再資源化までをカバーする循環システムを確立する。廃電池の回収はスエズ、リサイクリング技術の確立はエラメット、電池正極材料の製造はBASFが担当する。仏国国立パリ高等化学学校、ノルウェー科学技術大学(NTNU)および自動車業界の支援を受ける。来年1月から2年間、実施する計画だ。
スエズのジャンマルク・ブルシエ最高執行責任者(COO)は「欧州では2027年までに約5万トンの電池がリサイクルされる。2035年までにはその量がほぼ10倍に拡大する」と述べ、リサイクル需要の取り込みに意欲を示した。