配達人の保護強化へ、元請企業に社会保険料の代替納付義務

ドイツ政府は18日の閣議で、荷物配達人の保護を柱とする法案を了承した。配達人の雇用主が社会保険料を支払わなかった場合、配達を依頼した元請企業に保険料の代納を義務付けるというもの。連邦議会(下院)の可決を経て施行される。

ネット通販の拡大を背景に小荷物の宅配需要が増え続けていることから、DHLやUPSなどの大手企業は配達業を小規模な事業者に委託している。これら小規模事業者は被用者の社会保険料を納付しないことがあるため、社会保険機関と当該被用者が被害を受けている。小規模企業の配達人はドイツ語が良くできない東欧などの出身者が多いため、泣き寝入りしているのが現状だ。

こうした事態をなくすために、政府は今回の法案を作成した。法案が施行されると、元請企業は下請企業が社会保険料を納付しているかどうかを確認したうえで配達業務を委託するようになるため、下請は保険料を納付せざるを得なくなる。

下請企業が社会保険料を納めているかどうかは健康保険組合と同業組合(ベルーフスゲノッセンシャフト)で確認できる。この確認手続きを行っていれば、下請企業が保険料を支払っていなくても元請企業に代納義務は発生しない。