BMW:持続可能なコバルト採掘実現へ、独韓4社がコンゴでパイロットプロジェクト

自動車大手BMW、化学大手BASF、電池大手サムスンSDI、電機大手サムスン電子の独韓4社は18日、責任あるコバルト採掘の実現に向けたパイロットプロジェクト「コバルト・フォー・デベロップメント」を立ち上げた。コンゴ民主共和国に多数ある小規模鉱山の労働環境改善と周辺地域の生活条件改善を目指す。

コバルトはリチウムイオン電池の正極材原料で、電動車やスマートフォンの利用拡大を背景に需要が急速に伸びている。コンゴ民主共和国は世界最大の産地だ。

採掘に際して◇環境基準が遵守されていない◇労働環境が劣悪なうえ児童労働も行われている――といった問題が小規模鉱山を中心に起きている。環境に優しいことをうたい文句とする電気自動車(EV)などの電池にそうした問題含みのコバルトが使用されていることへの風当たりは近年、急速に強まっている。

4社はこの問題を解決するための糸口を見つけるために今回のプロジェクトを始動させた。コンゴの自治体と共同で選んだコルヴェジ市近郊の小鉱山と、同鉱山の周辺自治体で実施する。期間は3年。実務は4社の委託を受けた国営会社「ドイツ国際協力会社(GIZ)」が担う。

プロジェクト対象の小鉱山ではまず、労働と環境上のリスクを分析。そのうえで環境と人権に配慮した採掘方法を開発し実践する。

周辺自治体では◇子供が教育を受けられるようにする◇金銭に関する住民の理解力を高める◇鉱山労働以外の収入源を確保できるようにする――といった取り組みを行う。鉱山労働に強く依存せざるを得ない状況を、その原因にさかのぼって改善していく狙いだ。

鉱山と自治体で実施した取り組みに対しては内部と現地代表からなる委員会で定期的に検証を行い、改善を図っていく。プロジェクトで得られた知見は将来、他の小規模鉱山で活用する意向だ。

BMWのアンドレアス・ヴェント取締役(調達・サプライチェーン担当)は「持続可能性はEモビリティ拡大のカギを握る」と指摘。コバルトその他の天然資源は倫理的に責任のある条件下で採掘・加工されなければならないと強調した。