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2019/11/6

総合 - ドイツ経済ニュース

電動車の普及促進へ、補助金引き上げなどで政財界が合意

この記事の要約

電動車の製造・販売が今後、本格化することから、購入者に対する補助金を大幅に増額するほか、普及の前提となる充電インフラの拡充を加速する。

普及を後押しするために、16年7月には電動車の購入補助金制度を導入。

同補助金はカタログ価格で6万ユーロ以下の電動車を購入した消費者や企業に交付される補助金。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は4日、自動車業界の代表などと会談し、電動車の普及促進に向けた措置を取り決めた。電動車の製造・販売が今後、本格化することから、購入者に対する補助金を大幅に増額するほか、普及の前提となる充電インフラの拡充を加速する。交通セクターの二酸化炭素(CO2)排出量を減らし、温暖化防止に向けた政府目標を達成する狙いもある。

政府は2009年、電動車の分野で世界の主導権を握るために、20年までに100万台を普及させるという目標を打ち出した。普及を後押しするために、16年7月には電動車の購入補助金制度を導入。電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の購入者が補助金を受けられるようにした。

だが、電動車の国内登録残数は現在、22万台にとどまる(8月末時点)。電動車の販売は増えているものの、政府が想定したほどは伸びていないのが現状だ。

一方、自動車メーカーは、フォルクスワーゲン(VW)が「ビートル」「ゴルフ」に続く戦略モデルと位置づけるEV「ID.3」の生産を同日、開始するなど、電動車の本格投入に乗り出している。

これを踏まえて政府と自動車業界は電動車購入補助金の引き上げを取り決めた。

同補助金はカタログ価格で6万ユーロ以下の電動車を購入した消費者や企業に交付される補助金。助成額は現在、EVが4,000ユーロ、PHVとFCVが各3,000ユーロで、国とメーカーが折半する。

充電ポイントを100万カ所に

今回の合意では◇4万ユーロ未満の電動車の補助金を50%引き上げる◇助成対象の上限となる車両価格を6万5,000ユーロに引き上げるとともに、4万ユーロ以上の車両の補助金も25%引き上げる――が取り決められた。4万ユーロ未満のEVを購入する場合は補助金が4,000ユーロから6,000ユーロ、同PHVを購入する場合は3,000ユーロから4,500ユーロに増えることになる。補助金の期限は25年末まで。

電動車はこれまで、◇航続距離が短い◇価格が高い◇充電施設が少ない――の3点が普及のネックとなってきた。このうち航続距離と価格については問題解決の方向に向かっている。一方、充電施設の数は依然として少なく、ドイツ国内の公開型充電ポイントは現在およそ2万1,000カ所にとどまる。電動車での長距離移動には電池切れで走行できなくなるリスクが伴う。これでは手ごろな価格で電動車を購入できるようになっても普及の壁を突破できないことから、政府は経済界とともに充電インフラ拡充の基本計画を策定する。30年までに国内の電動車総数が1,000万台になると想定。公開型充電ポイントを100万カ所へと引き上げる。助成措置を通して人口希薄地域にも設置されるようにする意向だ。高速道路(アウトバーン)の各休憩所には高速充電ポイントが22年までに最低4カ所、設置されるようにする。個人宅への充電設備取り付けを促進するために住宅・借家法の改正も行う。