独化学工業会(VCI)は3日、独化学・製薬業界の2019年の生産高予測を引き下げた。下方修正は4度目。国内国の需要減少を踏まえたもので、従来予測の前年比マイナス6.0%からマイナス7.5%へと下方修正した。
VCIは当初、19年の業界生産高が前年比で1.5%増加すると予想していた。これを3月に3.5%減、7月に4%減、9月に6%減へと下方修正。今回さらに1.5ポイント引き下げた。
生産成長率予測を部門別でみると、下げ幅が最も大きいのは製薬で16.5%に上る。比較対象の19年は製薬の水準が特殊要因で強く押し上げられておりその反動が大きい。製薬を除いたベースでは減少幅が2.5%で、内訳はポリマーが7%減、ファイン・スペシャル化学品が4.5%減、石油化学品が1%減、洗剤・ボディケア用品・その他の消費者向け製品と無機化学品がそれぞれ1%増となっている。
VCIは出荷価格と売上高については従来予測を据え置いた。出荷価格で1%の上昇、売上高で5%減の約1,930億ユーロを見込む。売上高の地域別の内訳は国内が4.5%減の730億ユーロ、国外が5%減の1,200億ユーロ。
景気の低迷は今後も続く見通しで、VCIは20年の生産高も0.5%増と小幅な伸びにとどまると予想している。化学が0.5%減少。製薬は2%増加する。出荷価格は横ばい、業界売上高は0.5%増を見込む。売り上げは国内で0.5%減、国外で1.5%増を予想している。
VCIは今回、独業界が排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの量が1990年からこれまでに半減したことを明らかにしたうえで、温室効果ガスの排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を50年までに実現することは可能だとの調査結果も明らかにした。独メーカーが次世代設備への投資を計450億ユーロ上乗せするとともに、再生可能エネルギー電力の使用量を大幅に増やすことを前提としている。
化学製品の原料構成を抜本的に変えることも必要で、現在は全体の94%を占める石油などの化石燃料系原料の割合を同年までに6%へと低減。バイオマスを6%から28%へと拡大する。また、新たにCO2と樹脂廃棄物を原料化することでカーボンニュートラルを実現できるとしている。50年時点の全原料に占めるCO2の割合を55%、樹脂廃棄物を同28%と試算している。