ドイツ連邦カルテル庁は12日、ティッセンクルップ・スチール・ヨーロッパなど鉄鋼メーカー4社が熱間圧延平鋼の分野で違法なカルテルを結んでいたとして、そのうちの3社に合わせて約6億4,600万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。
4社は2002年半ばから16年6月にかけて定期的に会合を持ち、熱間圧延平鋼の「割増価格(Aufpreise)」と「追加価格(Zuschlaege)」を取り決めていた。ドイツでは熱間圧延平鋼の価格が伝統的に、顧客との個別交渉で決める「基礎価格(Basispreis)」と、それに上乗せする割増価格・追加価格で構成されており、割増価格は強度などの品質や超音波検査などの付加サービス、追加価格は製品への添加剤の配合に伴ってそれぞれ上乗せされていた。
4社は割増価格と追加価格の分野で顧客との価格交渉を回避するために、違法なカルテルを結んでいた。関与していたのはティッセンクルップ、イルゼンブルガー・グロープブレヒ、フェストアルピーネ・グロープブレヒ、ディリンガー・ヒュッテンヴェルケの4社。このうちディリンガーは最初に通報して調査に協力したことから制裁を全額、免除された。
熱間圧延平鋼は橋梁や高層建設物、船舶、機械、パイプライン、風力発電用タワーなど幅広い分野に投入されている。