三菱商事とNTTは12月20日、デジタル地図大手の蘭ヒア・テクノロジーズに共同出資することで合意したと発表した。オランダに新設する折半出資の持ち株会社を通じて、ヒア株30%を取得する。
ヒアはカーナビゲーションや自動運転車などに使われるデジタル地図、位置情報システムを手掛ける企業。独自動車大手のBMW、アウディ、ダイムラーが2015年に25億ユーロでノキアから買収した。三菱商事とNTTは同日発表した産業のデジタル化推進に向けた業務提携の移管として、同社への共同出資を決めた。20年の手続き完了を見込む。出資額は明らかにしていないが、10億米ドル程度と目されている。
三菱商事とNTTは両社の事業、顧客、技術基盤を活用しながら、ヒアのサービス、イノベーション拡充を支援し、流通など自動車以外の分野も含めた幅広い産業を対象に、同社が持つ位置情報技術を生かしたソリューション、サービスを提供していく。
ヒアには現在、BMW、アウディ、ダイムラーが各25%を出資。独自動車部品大手のコンチネンタル、ボッシュが18年にそれぞれ株式5%を取得した。三菱商事とNTTの出資により、自動車3社の持ち株比率は各18%程度に縮小する。
ヒアは今回の出資受け入れについて、位置情報の用途が広がるなか、自動車関連企業に集中している株主基盤の多様化を進める必要があると説明している。