自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は8日、筆頭株主である中国同業の浙江吉利控股集団と共同で新会社「スマート・オートモービル」を設立したと発表した。これまでダイムラーが単独で展開してきた超小型乗用車ブランド「スマート」事業を合弁化したもので、同ブランド車の需要を、中国をはじめ世界全体で掘り起こしていく狙いだ。
ダイムラーは昨年3月、スマート事業を吉利との合弁事業に切り替えることを明らかにした。スマート事業は乗用車部門の足かせとなっていることから、合弁化することでリスクを軽減。また、巨大市場である中国に生産を移管することで需要を掘り起こす考えだ。
両社は合弁設立の承認を当局から取得したことを受けて今回、折半出資の新会社を浙江省寧波に設立した。資本金は54億人民元で、それぞれ27億人民元を拠出している。
新会社では中国に専用工場を建設して次世代スマートの電気自動車(EV)を生産し、2022年から世界で販売していく。スマートは現在、仏東部のハンバッハ工場(2人乗りモデル「フォートゥー」)とスロベニアのノヴォ・メスト工場(4人乗りモデル「フォーフォー」)で生産している。中国への生産移管に伴いハンバッハ工場の生産車種はメルセデスの小型電動車へと切り替えられる。
スマートは欧州で最も小型の車格に当たる「Aセグメント」のモデル。新会社ではワンランク上の車格である「Bセグメント」のモデルも手がける計画だ。