新たな資源戦略を策定、車両電動化などに対応 省資源加工やリサイクル技術の開発支援も

ドイツ政府は15日の閣議で、資源の安定確保に向けた戦略を承認した。10年前に策定した戦略に、時代の変化を踏まえて修正を加えたもので、持続可能性についてもこれまで以上に重視する姿勢を打ち出した。資源の獲得源としては輸入と国内採掘、リサイクリングの3本柱を明記している。

政府は2010年、資源戦略を打ち出した。中国がレアメタルの輸出を大幅に制限するなど、資源獲得をめぐる国際競争が激化していることを踏まえ、「ハイテク産業国ドイツの将来にとって妥当な価格で資源を確保することは決定的な意味を持つ」と判断。包括的な資源戦略に沿って経済界を支援することにした。

今回これに修正を加えた背景のひとつとして、自動車の電動・IoT化や再生可能エネルギーの拡大を背景に資源需要に大きな変化が起きたことがある。

例えば電動車が増加した結果、リチウムイオン電池の原料となるコバルトやモーターに使われる銅の需要が急増している。また、コネクテッドカーが今後、普及すると、高速通信網の拡充が必要となり、光ファイバーの原料となるゲルマニウムの重要性が高まる。さらに、再生エネで重要な役割を果たす風力風車ではマンガン、セレン、モリブデン、ニオブが必要不可欠だ。

電動車や再生エネは欧州連合(EU)やドイツの環境・エネルギー政策を背景にニーズが高まっているという事情があることから、経済界からは資源確保に向けた支援の強化を求める声が以前から上がっていた。

政府はこれを受けて、資源プロジェクトへの融資保証基準を緩和する政策などを今回の戦略に盛り込んだ。

資源の獲得では環境汚染や人権侵害などが国際社会の大きな問題となっていることから、新戦略では持続可能性重視の方針も打ち出された。また、資源の有限性や資源ナショナリズムの高まりを背景に資源を十分に確保できなくなる恐れがあることから、国内資源の開発強化や、省資源の実現に向けた加工技術、リサイクル技術の開発支援が明記されている。

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