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2020/1/22

総合 - ドイツ経済ニュース

「欧州グリーンディール」の投資計画を欧州委が発表

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、2050年までに域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標の達成に向け、脱炭素化を実現するための手段となる「持続可能な欧州投資計画」を発表した。

今後10年で官民合わせて少なくとも1兆ユーロを投資し、技術革新を通じて欧州経済の成長を図ると同時に、石炭など化石燃料に依存する東欧諸国などが再生可能エネルギーに転換するのを支援する。

投資計画は、昨年12月に就任した欧州委のフォンデアライエン委員長が打ち出した包括的な環境政策「欧州グリーンディール」を実現するためのもの。

欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、2050年までに域内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標の達成に向け、脱炭素化を実現するための手段となる「持続可能な欧州投資計画」を発表した。今後10年で官民合わせて少なくとも1兆ユーロを投資し、技術革新を通じて欧州経済の成長を図ると同時に、石炭など化石燃料に依存する東欧諸国などが再生可能エネルギーに転換するのを支援する。

投資計画は、昨年12月に就任した欧州委のフォンデアライエン委員長が打ち出した包括的な環境政策「欧州グリーンディール」を実現するためのもの。同構想は50年までの実質ゼロ目標のほか、30年の温室効果ガスの排出削減目標を従来の1990年比40%減から50~55%減に引き上げることや、地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定を順守しない国からの輸入品に対し、関税を上乗せする「国境炭素税」の導入などを掲げている。欧州委は3月までに欧州グリーンディールの法的枠組みとなる「欧州気候法案」をまとめる方針だ。

欧州委によると、1兆ユーロのうち半分程度はEU中期予算(2021~27年)から拠出する。加盟国に対して計1,000億ユーロ以上の供出を求める一方、欧州投資銀行(EIB)を含む官民から3,000億ユーロを集める。さらに石炭など化石燃料への依存度が高いポーランド、ルーマニア、チェコなどの再生可能エネルギーへの転換を支援するため、「公正な移行メカニズム(JTM)」に基づいて設立した「公正な移行のための基金(JTF)」から1,000億ユーロを拠出する。このほかEU排出量取引制度(EU-ETS)の排出枠取引で得た収益からも250億ユーロを投じる。

フォンデアライエン氏は声明で「われわれを待ち受ける経済・社会構造の転換は前例がない」と強調。「脱炭素化から取り残される人や地域が出ないよう支援する」と述べ、「グリーン投資の波を起こす」と意気込んだ。