フランクフルト検察当局は21日、三菱自動車、およびサプライヤー2社を対象に立ち入り調査を実施した。同社製ディーゼル車に排ガスを違法に操作する機能が搭載されている疑いが持たれているためで、ドイツ国内の10カ所が対象となった。証拠書類を押収して容疑の裏付けを取る狙いだ。ヘッセン州警察当局は車両の購入者に向けてウエブサイト上で、証人となるとともに、必要に応じて告訴するよう呼びかけている。排ガス不正容疑で日本メーカーが独当局の捜査を受けるのは今回が初めて。
不正の疑いが持たれているのは欧州排ガス基準「ユーロ5」と「ユーロ6」に対応した4気筒エンジンの搭載車。ヘッセン州警察当局は2015年9月以降に新車登録された1.6リットル車と、同12年11月以降の2.2リットル車が対象であることを明らかにした。
検察によると、台上試験と路上走行の違いを認識して窒素酸化物(NOx)の処理システムが台上試験でのみ適正に作動する機能が搭載されている疑いがあるという。検察は三菱自と国際的な自動車販売会社1社、サプライヤー2社の社員を対象に詐欺の容疑で捜査を進めている。サプライヤーでは独コンチネンタルが立ち入り調査を受けたことをメディアに認めた。
ドイツ連邦陸運局(KBA)は独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの排ガス不正問題が2015年秋に発覚したことを受けて、日本車を含む独内外のメーカーのディーゼル車53モデルを対象にテストを実施した。16年4月に発表された調査報告によると、欧州連合(EU)ルールの盲点を突いて台上試験に合格するようにしていた車両が計22モデルあったものの、台上試験と路上走行の違いを認識して台上試験でのみ排ガス浄化装置が適正に働くよう設定した違法ソフトの搭載車両は見つからなかった。この調査が今回の捜査につながったかどうかは不明。日本車ではホンダ「HR-V」、マツダ「6」、三菱「ASX」、日産「ナバラ」、トヨタ「オーリス」の計5モデルが調査対象となっていた。