自動車部品大手の独ボッシュ(シュツットガルト)は22日、固体酸化物形燃料電池(SOFC)開発の有力企業である英セレス・パワーの株式を追加取得したと発表した。両社の協業を強化する狙い。新株と既存株を約9,000万ユーロで手に入れ、出資比率を従来の3.9%から約18%へと引き上げた。監査役1人を派遣する権利を獲得した。
SOFCは高温の固体電解質を用いた定置型の燃料電池。燃料電池のなかでは稼働高温が最も高く、単独の発電装置としても発電効率が最も高い。必要な部品点数が少ないことから、小型化や低コスト化のポテンシャルが大きい。セレスはSOFCの量産技術を確立することを目指している。
ボッシュは2018年8月、同社と戦略提携合意して資本参加。19年秋にはセレスの技術を用いた燃料電池システムの少量生産をドイツで開始した。今後は分散型電源として都市や工場、電算センター、電動車給電スタンドなど幅広い分野に投入していくために量産を開始する意向であることから、協力関係を強化するために出資比率を引き上げた。
ボッシュは自動車向けの燃料電池についても将来性を高く評価しており、19年4月には商用車・乗用車用水素燃料電池事業に参入することを明らかにした。燃料電池のコア部品であるスタックをスウェーデン企業パワーセルと共同開発。量産技術の確立にめどをつけ22年までに市場投入する意向だ。