帝人は28日、自動車向けのテクニカルセンターを独西部のヴッパータールに開設すると発表した。車両の電動・自動・IoT化などを背景に部品・部材に求められる性質や機能が変化していくことから、そうした動向に機敏に対応できる体制を欧州で構築する。
「テイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)」という名の拠点を、テイジン・カーボン・ヨーロッパ社の敷地内に設立。2月から始動する。
帝人は次世代自動車に必要な軽量化や多機能化を実現するため、2017年に米コンチネンタル・ストラクチャル・プラスティックス(CSP)を買収した。その後グローバルなティア1サプライヤーとして自動車向け複合成形材料事業を展開している。
欧州ではCSPの仏現地法人CSPヨーロッパで、熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させてシート状にした成形材料であるSMCの生産拠点2カ所を新設したほか、ポルトガルのイナパル・プラスティコスやチェコのベネット・オートモティブを買収。複合成形材料事業を拡大してきた。
TACEを設立することで今後は、欧州各拠点が有する研究開発機能やマーケティング機能を有機的に連携させて、複合成形材料のデザイン・設計やプロトタイプの試作・評価を実施。次世代自動車に向けたソリューションを自動車メーカーに提案していく。将来的にはマーケティングや新技術、M&Aの可能性に関する調査機能も整備。軽量性、強度に加え、デザイン、生産性、コスト効率といった面でも欧州の顧客ニーズにきめ細かく対応していく。