即時解雇の2週間期限ルール、最高裁が例外を認める判断

社員を即時解雇する場合、雇用主は解雇の理由となる問題行動を認知してから2週間以内に解雇しなければならない。これは民法典(BGB)626条2項に記されたルールである。このルールに絡んだ裁判で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年6月に決定(訴訟番号:2

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2/19)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は、裁判所による即時解雇の承認を求めて大手企業U社の子会社が起こしたもの。同子会社で事業所委員を務める女性社員は2016年11月21日、事業所委員長から性的な意味合いの言葉をかけられた。翌22日夜にはプライベートのスマートフォンにポルノ画像を送り付けられた。

同女性社員はこれらの事実を21日と23日に上司や人事責任者に伝えたものの、正式な調査については差し当たり見合わせることを要請した。精神的なダメージが大きかったことから、24日から病気休業した。

3週間後の12月14日に同社員が正式調査を要請したことから、同社は事業所委員長から事情を聴取し、即時解雇する方針を固めた。だが、即時解雇に必要な事業所委員会(Betriebsrat)の承認を得ようとしたところ、同委から、雇用主は解雇の理由となる問題行動を認知してから2週間以内に解雇しなければならないとするBGB626条2項のルールに違反するとして拒否されたことから提訴。事業所委に代わる解雇の承認を裁判所に要請した。

原告の同社は二審で敗訴したものの、最終審のBAGで逆転勝訴した。決定理由でBAGの裁判官は、被害者の女子社員がセクハラのショックで勤務できなくなっていた事情を指摘。こうしたケースでは2週間の解雇期限が延長され得るとの判断を示した。それと同時に、同期限を無限に延長することはできないとも指摘。雇用主は正式調査を要請するかどうかを決断するよう被害者の社員に促さなければならないとも言い渡した。

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