Ifo経済研究所は3日、ドイツの経常黒字が昨年は推定で2,930億ドル(2,620億ユーロ)となり、4年連続で世界1位になったことを明らかにした。経常黒字の対国内総生産(GDP)比率は前年の7.3%から7.6%へと上昇し、4年ぶりに拡大へと転じており、同国に対する欧州連合(EU)や米国、国際通貨基金(IMF)からの風当たりが強まりそうだ。
Ifoのエコノミストは経常黒字の対GDP比率が高まった主な理由として◇独製造業の景気低迷で輸入の伸びが輸出を下回った◇対外金融債権・債務から生じる利子・配当金などの収支状況を示す第一次所得収支の黒字が増えた――を挙げた。第一次所得収支の黒字は経常黒字全体の37%を占めた。
EUの欧州委員会は経常収支の対GDP比率で6%超が持続すると域内の経済的な安定が損なわれるとしており、ドイツに対しこれまで是正を求めてきた。だが、同国は同許容上限値を8年連続で上回ったうえ、昨年は同比率が膨らんだ。
対EU貿易赤字の是正を目指す米トランプ政権は、同赤字の最大の原因である対独赤字に一段と厳しい姿勢を示す可能性がある。トランプ大統領は1月にスイスで開かれていた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でEUと貿易交渉を進めたい意向を表明。「合意できなければ(欧州車に対する関税発動を)真剣に検討することになるだろう」と述べた。欧州車に対する関税が発動されれば、ドイツの自動車メーカーが最大の痛手を受けることなる。
昨年の経常黒字額世界2位は日本で、1,940億ドルに上った。対GDP比率は3.8%とドイツに比べて低い。3位は中国で、黒字額は1830億ドル、対GDP比率は1.3%だった。
米国は経常赤字が4,900億ドルに達し、これまでに引き続き最大の経常赤字国となった。経常赤字の対GDP比率は2.3%。同赤字2位は英国で1,170億ドル(同比率4.2%)、3位はブラジルで510億ドル(2.9%)だった。