バイオ医薬品開発の独キュアヴァク(テュービンゲン)は1月31日、中国を中心に感染者が急増する新型コロナウイルス(2019-nCoV)のワクチン開発を、国際的な官民パートナーシップである「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」から受託したと発表した。CEPIから最大830万ドルの資金を受け取り、ワクチン候補を速やかに開発。臨床試験を実施する。
キュアヴァクはタンパク質合成のための情報を持つRNA分子であるメッセンジャーRNA(mRNA)をベースとする医薬品の開発に取り組んでいる。同社の技術を用いるとワクチン開発を大幅に加速できることから、CEPIは白羽の矢を立てた。CEPIのリチャード・ハチェット最高経営責任者(CEO)は、「臨床試験用のワクチン候補を数カ月以内に開発したい」と期待を表明した。CEPIは臨床試験と生産費用も提供する。
CEPIは2017年、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で設立された。ワクチン開発の促進を目的としており、日本、ノルウェー、ドイツ、英国などのほか、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が妻と設立したゲイツ財団、英医学研究支援団体ウェルカムトラストが資金を拠出している。ドイツの拠出額は9,000万ユーロに上る。