独自動車大手ダイムラーの乗用車部門メルセデスベンツ・カーズ(MBC)は1月30日、サプライチェーンを透明化するために分散型台帳技術ブロックチェーンを活用することを明らかにした。車両の二酸化炭素(CO2)排出量を走行だけでなく製品ライフサイクル全体で削減するほか、持続可能性重視のサプライチェーンを実現することが狙い。まずはリチウムイオン電池の主要原料であるコバルトを対象にパイロットプロジェクトを行う。
MBCは昨年5月、CO2の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を2039年までに実現するとの目標を打ち出した。自動車のCO2排出に対する規制や社会の批判が強まっていることを踏まえたもので、車両の電動化や再生可能エネルギーの利用拡大のほか、サプライヤーにも排出削減を求める意向だ。CO2削減で一定基準を満たしたサプライヤーからのみ部品を調達する。
製品ライフサイクル全体のCO2排出量を効率的に引き下げていくためにまずは、生産に際してCO2を多く排出する電池セル、鉄鋼、アルミニウムのサプライヤーに排出削減を強く求めていく。
サプライチェーンのCO2を削減するためにはサプライチェーンの実態を把握する必要があることから、コバルトを対象とするパイロットプロジェクトを実施。ブロックチェーンを活用してサプライチェーンで排出されるCO2の量を把握する。また、調達するコバルトに占めるリサイクル製品の割合も明確化する。
ブロックチェーンを通しては製造や採掘現場での人権順守や環境保護など持続可能性原則の徹底も図る意向だ。サプライヤーに対してはサプライチェーンの川上企業にも同原則を遵守させることを要求していく。
ダイムラーのマルクス・シェーファー取締役(研究開発・MBC調達担当)は、カーボンニュートラル目標を実現するためにはサプライヤーとの協業が必要不可欠だとの認識を示した。