欧州連合(EU)は13日、ブリュッセルで緊急の保健相会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための対応策を協議した。加盟国は空港や港での水際対策の強化や、医薬品不足に備えた調達計画の策定などで合意した。一方、域外からの渡航制限に関しては、現時点では必要ないとして見送ったものの、状況が悪化した場合は感染国・地域からの入国制限を含めた対策を検討することで一致した。
緊急会議では、ウイルス感染の早期検知と、空港などでの水際対策の強化が鍵を握るとの認識で一致。情報共有を徹底するなど加盟国が連携を強化し、共通の対策を講じることで合意した。
また、原薬(医薬品の有効成分)は中国で製造されるケースが多いことから、同国で感染拡大が長期化して工場の稼働などに影響が出た場合、EU域内で医薬品が不足する恐れがある。加盟国はこうした事態に備え、必要な医薬品を確保するための共同調達計画を策定することで合意した。
欧州委員会のキリアキデス委員(保健・食品安全担当)は「国ごとにばらつきのある取り組みはEU全体を脆弱にする。加盟国が連携を強化し、EUとして統一的に行動することが中国当局による封じ込めをサポートし、域内における感染拡大の抑制につながる」と指摘。現時点では域外からの渡航を制限する必要はないものの、状況が悪化した場合は「速やかに対策を強化する」と述べた。