ミュンヘン再保険は2月28日の決算発表で、新型肺炎の流行を受けて今夏に予定する東京オリンピックが仮に中止となった場合、同社は大きな痛手を受けるとの見通しを明らかにした。新型肺炎が業績にもたらす影響は現時点で小さいものの、オリンピックは世界的なイベントであることから、保険金が膨らむ恐れがある。
新型コロナウイルスが流行するアジアでは大型イベントがすでにキャンセルされている。これに伴う損失は百万ユーロのケタ台と比較的小さい。また、新型コロナの感染死者数は現在、世界で3,000人強に上るものの、10万人のケタ台に達しなければ大型災害とは言えないという。
ミュンヘン再保険が東京オリンピックで引き受ける保険金額は1億ユーロのケタ台に上る。パンデミック(世界的な流行)やエピデミック(局地的な流行)が原因でイベントが中止となる場合は、契約で明確に取り決めていない限り、興行中止保険が適用されないものの、再保険部門のトルステン・イェヴォレク最高経営責任者(CEO)は、オリンピックが中止となった場合は痛手を受けることを明らかにした。保険金の支払額がどの程度になるかについては守秘義務を理由に明らかにしなかった。
同社の2019年12月期決算の営業利益は前期比7.5%増の40億400万ユーロへと拡大した。再保険部門が6.0%増の26億1,300万ユーロ、元受部門が10.3%増の13億9,100万ユーロとともに好調だった。株主帰属の純利益は18.0%増えて27億2,400万ユーロとなった。
再保険部門が支払った大型災害(被害額1,000万ユーロ超)の保険金総額は45.2%増の31億2,400万ユーロと大きく膨らんだ。日本を直撃した台風第19号(7億8,000万ユーロ)と台風第15号(5億3,000万ユーロ)を受けて自然災害の保険金が63.5%増の20億5,300万ユーロに拡大。人災の保険金も19.5%増えて10億7,100万ユーロとなった。