テューリンゲン州議会の混乱に幕、新首相に左翼党のラメロー元首相を選出

独テューリンゲン州首相の指名選挙が4日、州議会で行われ、左翼党のボド・ラメロー元州首相が新首相に選出された。これにより同州の政府が存在しないという異例の状態がようやく解消されることになった。

同州では2月5日に州首相指名選挙が行われた。その際、自由民主党(FDP)のトーマス・ケメリッヒ議員が国政与党のキリスト教民主同盟(CDU)と、移民排斥を訴える極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持で同州の新首相に選出されたことは、ドイツの政界を強く揺さぶった。中道右派のCDU、FDPが結果的とはいえAfDと協力したことは、ナチスの歴史への反省に基づく戦後ドイツの政治理念からの逸脱であるためだ。ケメリッヒ新首相は政界や世論の強い圧力を受けて就任翌日の6日に辞意を表明し8日に辞任。CDUのアンネッテ・クランプカレンバウアー党首は10日に辞意を表明するとともに、同党の首相候補を辞退することも明らかにした。

こうした混乱を経て行われた今回の指名選挙では、ラメロー元首相とAfDのビェルン・ヘッケ院内総務が立候補。第1回と第2回投票では両候補とも過半数を獲得できなかったものの、最も多くの票を得た候補が首相に選出される第3回投票ではラメロー元首相が左翼党と中道左派の社会民主党(SPD)、緑の党の支持を受けて新首相に選出された。

与党となった同3党は過半数議席を割り込んでいることから、議会では野党と調整を図りながら法案を実現していくことになる。CDUは法案によっては協力することをすでに与党と取り決めている。また、現在の同州議会はAfDがキャスティングボード(決定権)を握りやすい勢力配置となっていることから、この問題を解消するために来年4月25日に州議会選挙を行うことでも4党は合意済みだ。

上部へスクロール