K+S―南北アメリカ塩事業を売却へ―

肥料大手の独K+S(カッセル)は11日の決算発表で、南北アメリカの塩事業を売却する方針を明らかにした。財務の健全化に向けて債務を削減することが狙い。組織再編と管理部門の縮小も行いコストを大幅に圧縮するとしている。今後は肥料と特殊品事業に経営資源を絞り込む意向だ。

同社は2006年にチリのSPL、09年に米国のモートン・ソルトをそれぞれ買収し南北アメリカ塩事業を構築した。世界最大の塩メーカーとなっている。同事業の売上高は15億ユーロで、K+Sの売り上げの3分の1以上を占める。

同社はカナダのカリウム鉱山会社ポタシュ・ワンを11年に買収して、同国でカリウム採掘に乗り出した。これに伴い30億ユーロを投資したことから、債務が膨らんだ。カリウム市場は現在、飽和状態にあり、価格圧力が高いことから、カリウムの採掘・販売で債務を圧縮できない状況に陥っている。

経営陣はこの問題を解決するために南北アメリカ塩事業の売却方針を決めた。売却益により債務を現在の約45億ユーロから20億ユーロ強に引き下げる考えだ。買収に関心を示す投資家は多いといい、同社は年内の契約締結を見込んでいる。

19年12月期の売上高は前期比0.8%増の40億7,070万ユーロへと拡大した。営業利益(EBITDA)は5.6%増の6億4,040万ユーロで、売上高営業利益率は前期の15.0%から15.7%へと上昇した。

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