イエナ市がマスク着用を義務化、現時点で全国導入はなし

独東部のイエナ市は3月30日、マスクの着用を義務化することを明らかにした。ドイツでマスクの着用が義務付けられるのは初めて。欧州ではチェコとスロバキアが3月に導入。オーストリアでは今月1日からスーパーなどの入り口での配布が始まり、6日から着用が義務化された。

イエナでも6日からマスクの着用が義務付けられた。市民はスーパーマーケットと公共交通機関を利用する際、口と鼻をマスクで覆わなければならない。

ドイツでは他の国同様に、マスクが極端な品薄状態となっている。このため市当局は市民に自ら作製するよう呼びかけた。マスクの代わりにタオルやマフラーを使用することも認めている。

ドイツ政府は導入を検討していない。イエンス・シュパーン保健相は市民が任意でマスクを着用することは良い兆候だとしながらも、「現在の状況下では義務化の必要はない」との見解を示した。

非医療用のマスクには新型コロナウイルスの感染を防ぐ効果はない。ただ、感染者が着用すると他人を感染させるリスクが低下することから、感染拡大を鈍化させる効果は期待できる。

それにもかかわらず政府が着用義務化を見合わせる背景には、マスクが不足する現時点で導入を強行すれば不足に拍車がかかるという事情がある。与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)のカリン・マーク連邦議会議員(保健政策担当)は、病院や歯医者、介護施設にマスクが十分に行き渡るようになれば市民の着用義務を議論できるようになるとの見方を示した。

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