米国がマスク横取りか、ベルリン州発注の20万枚が行方不明に

ドイツの首都ベルリン州が発注したマスク20万枚が輸送途中で行方不明になる事件が起きた。背景は不明だが、米国政府が横取りした疑いが持たれている。

同州は米3Mが中国で生産する感染予防効果が高い「FFP-2」マスク40万枚を、長年取引のある仲介業者を通して発注した。同業者によると、そのうち第一弾に当たる20万枚がバンコクの空港でドイツでなく米国向けに積み替えられ、そのまま輸送されたという。同州のアンドレアス・ガイゼル内相は3日、「現代版の海賊行為」だと米国政府を批判した。米政府は容疑を否認しているものの、同様の批判はフランス、カナダからも出ている。

背景には新型コロナウイルスの感染が急拡大する米国でマスクなど医療用品が不足していることがある。トランプ大統領はこれに対処するため3月中旬、朝鮮戦争が勃発した1950年に施行された「国防生産法」を根拠に、医療物資の生産を民間企業に命令した。

フランスの複数の政治家は、発注した医療用品が輸送の最終段階で「横取り」されるケースがあることを指摘している。

ロイター通信によると、米国は現在、金に糸目を付けずに中国で医療用品を買い漁っている。調達を担当する米国土安全保障省(DHS)の職員は8月まで大量に購入し続ける意向を明らかにした。

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