カールシュタット・カウフホーフ―店舗数半減か―

オーストリア系投資会社シグナ・ホールディングの独小売子会社ギャラリア・カールシュタット・カウフホーフ(エッセン)が店舗数を大幅に削減する。新型コロナ危機で経営が急速に悪化しているためで、経営陣はカールシュタット、カウフホーフの2ブランドで展開するデパート計およそ170カ所のうち80カ所を閉める方向だ。スポーツ用品店カールシュタット・スポーツでは30店舗のうち20店舗、旅行代理店子会社では130店舗のうち100店舗を閉鎖するという。内部文書をもとに週刊誌『シュピーゲル』などが報じた。同社は最終決定が下されていないことを理由に報道内容へのコメントを控えている。

ギャラリア・カールシュタット・カウフホーフはカールシュタットの従来からの親会社であるシグナがカウフホーフを買収して設立した企業。デパート業界はネット通販の台頭などを背景に長期の構造不況にあえいでおり、同社の経営はもともと厳しかった。

コロナ危機はこれに拍車をかけている。感染拡大を防ぐために政府が3月18日から営業停止を命じたためだ。この措置により失われた同社の売上高は5億ユーロを超えた。現在は小売店の営業が再び認められているものの、感染リスクや家計の先行きを懸念する消費者はショッピングを控えており、先行きは厳しい。

同社は経営悪化を受けて4月初旬に民事再生手続きの適用を受けた。債権者の介入を排して3カ月以内に経営再建策をまとめ上げる意向だ。カールシュタットとカウフホーフの店舗は近接しているケースが多いことから、多くの都市でどちらかの店舗を閉める方向とみられる。

店舗閉鎖に伴い多数の従業員(現在2万8,000人)が削減されることになる。経営陣は従業員宛ての文書で事業の整理を、「我々全員が望むよりもはるかに決然と行わなければならない」ことを明らかにした。存続店舗と管理部門でも従業員数を減らす意向だ。