ドイツ連邦統計局が5月29日発表した4月の小売売上指数(自動車販売店を除く)は物価調整後の実質で前年同月を6.5%割り込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために小売店の営業が制限されたことが直撃した格好。ほとんどの分野で制限が課された非食料品部門が14.5%減となり、足を強く引っ張った。
同国では食料品店や薬局など基本的な生活の維持に必要不可欠な小売店を除き実店舗の営業が3月中旬から禁止された。また、同規制は4月20日以降、緩和されたものの、4月中は書店や自転車、自動車販売店を除き売り場面積が800平方メートル以内に制限されていた。操短や失業で支出を抑制する消費者や感染懸念を受けて不要不急のショッピングを控える消費者が多いこともあり、商店街の人出は例年よりも少なかった。
売上高が最も大きく落ち込んだのは繊維・衣料品・靴・革製品販売店で、減少幅は70.7%に達した。デパートなど総合的な小売店(40.3%減)や「家具・家電販売店、ホームセンター」(24.1%減)も振るわなかった。通販は実店舗の営業制限と感染リスクを避ける消費者の動きが追い風となり、24.2%増加した。
食料品・飲料・たばこ販売店も6.2%増と好調だった。他の分野の小売店が営業禁止となったことが大きい。特にスーパーマーケットは食料品と日用品を幅広く取りそろえているうえ、店舗の多くが住宅地にあることから、売り上げが大きく伸びた。食品の専門店は振るわなかった。