操短時の事業所委員の給与と操短手当はいかに?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業が操業時間を短縮している。操短の対象となる被用者に対しては現在、操短で目減りした労働時間分の賃金の少なくとも60%ないし67%に相当する額(操短手当)を国が支給している。67%を受給するのは扶養義務ある子持ちの被用者で、独身および子供のいない被用者は60%となる。今月から年末までは同比率が最大でそれぞれ87%、80%に引き上げられる。

では、従業員の代表として幅広い活動を行う事業所委員(Betriebsrat)の操短期間中の給与はどのような扱いになるのだろうか。この問題に関する記事を労働法専門出版社ブント・フェアラークがネット上に掲載しているので、今回はこれを取り上げてみる。

事業所委員は労働契約上の業務(本来業務)からの免除度合いによって、(1)本来業務を全面免除された委員(2)本来業務を部分的に免除された委員(3)本来業務を必要に応じて免除される委員の3種類に分けられる。この違いは操短期間中に給与の支給を受ける権利と操短手当を受給する権利の違いにも反映される。

本来業務を全面免除され事業所委員としての活動に専念する委員はそもそも勤務先が操短を実施しても、普段行っている事業所委員としての活動はなくならない。このため給与を引き続き、全額受給する権利がある。

裏返せば、操短手当を受給する権利は基本的にない。ただし、事業所委員として実際に行う活動の時間が減った場合は、事業所委の本来の活動時間から実際の活動時間の差し引いた時間について操短手当を受給する権利が発生する。そうでないと、本来業務を行う一般の社員(操短手当を受給する社員)に比べ不利になるためである。ただ、操短が行われる企業・事業所では通常、事業所委員の活動が増えることから、そうした事態になる可能性は低い。

本来業務を必要に応じて免除される委員(事業所委の活動に要した時間だけその都度、振休の形で本来業務を免除される)は、一般の社員と同様に操短手当を受給することになる。ただ、事業所委員としての活動時間が操短対象時間を超えた場合は給与を全額、受給する権利がある(操短手当は受給できなくなる)。

本来業務を部分的に免除されている委員は、免除された時間については給与の受給権、操短の対象となった労働時間については操短手当の受給権を持つ。

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