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2020/6/17

総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツが陸路の国境検査を廃止、渡航中止勧告も27カ国を対象に解除

この記事の要約

ドイツ政府は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施してきた陸路の国境検査を全廃した。欧州の感染者数が大幅に減少したため。今回の措置は欧州連合(EU)加盟国などと歩調を合わせたもので、出張者や観光客は欧州内を […]

ドイツ政府は15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施してきた陸路の国境検査を全廃した。欧州の感染者数が大幅に減少したため。今回の措置は欧州連合(EU)加盟国などと歩調を合わせたもので、出張者や観光客は欧州内を移動しやすくなった。

ドイツはオーストリア、スイス、フランス、ルクセンブルク、デンマークの5カ国を対象に3月16日から暫定的な陸路の出入国管理を開始した。欧州の人の自由な移動を保障するシェンゲン協定のルールを棚上げ。正当な理由がない場合は、ドイツ人およびドイツに居住する外国人がドイツに入国するケースを除いて、これらの国との国境を越えることができなくした。

その後の感染者数の減少を踏まえ、ルクセンブルク国境では5月中旬に検査を廃止。その他の国境についても全面検査から抜き取り方式の検査へと改めていた。

今回はさらにオーストリア、スイス、フランス、デンマークの4カ国との間でも検査を廃止した。EU・シェンゲン協定加盟国のほとんどが歩調を合わせて国境検査を終了したことから、ポーランドなどとも行き来も自由にできるようになっている。

ドイツは空路についても欧州域内の出入国検査をおおむね廃止した。EU加盟国ではスペインを差し当たり検査対象にとどめるものの、スペインが国境閉鎖を解除する21日以降は検査をなくす。国際的な観光地であるバレアレス諸島(マヨルカ島やイビサ島)についてはスペインが観光客の本格受け入れに向けたパイロットプロジェクトを実施することを踏まえ、15日から検査を廃止した。最大1万900人がドイツから同諸島に無検査で渡航できる。

独外務省は今回の措置に合わせ15日、EU加盟国、シェンゲン協定加盟国、英国の計31カ国のうちスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、スペインを除く27カ国を対象に渡航中止勧告を解除した。解除対象外のこれら4カ国のうちスウェーデンについては、人口当たりの感染者数がドイツの警戒水準を上回っていることから解除を見合わせた。フィンランド、ノルウェー、スペインの3カ国は自国国境の閉鎖を解除していないことから、ドイツは渡航禁止勧告を継続する。スペインは21日付で国境閉鎖を打ち切るため、外務省は同日付で渡航禁止勧告を解除する見通しだ。

EU・シェンゲン協定加盟国および英国以外の国(第3国)からの入国については、入国の原則禁止措置を今月末まで継続する。EUの欧州委員会は第3国からの入域を原則禁止する措置を、7月1日から段階的に緩和する方針を打ち出しており、ドイツもこれに沿った措置を取るとみられる。