ドイツ政府の計画通りに付加価値(VAT)税が7月1日付で引き下げられると、消費者物価は計算上、1.6%低下する。連邦統計局が15日、明らかにした。
新型コロナウイルスの感染拡大で悪化した景気の底支えを狙い政府は12日、付加価値税率の引き下げ法案を閣議決定した。議会の承認を経て施行されると、7月から12月末までの6カ月間、標準税率が19%から16%、軽減税率が7%から5%へと低下する。
統計局によると、消費者物価指数の構成品目のうち付加価値税の課税対象となっているのは約70%。家賃など残り約30%は非課税であるため、付加価値税率引き下げの効果は生じない。また、標準税率が適用される衣料品と軽減税率が適用される食料品とでは税引き下げに伴う価格の下落幅が異なる。
そうした事情を踏まえて付加価値税率引き下げの効果を統計局が試算したところ、価格の下げ幅が最も大きいのは「アルコール飲料・たばこ」「衣料品・靴」「家具・照明機器・じゅうたん・白物家電・その他の家庭用品」で、2.5%に上った。「郵便・電気通信」と「余暇・娯楽・文化」は2.3%、「交通」は2.2%、「飲食・宿泊」は2.0%、「食料品・ノンアルコール飲料」は1.9%。「住居・水道光熱費」は0.8%、「ヘルスケア」は1.2%にとどまる。
物価が実際にどの程度、低下するかは、小売店やサービス事業者が減税分を価格にどの程度、反映させるかにかかっている。市場競争が激しいかどうかや仕入れ値の変化、事業者の経営姿勢が大きなポイントとなる。