コロナアプリが独で始動、プライバシーとセキュリティを重視

新型コロナウイルスに感染した可能性を知らせるアプリの運用が16日、ドイツで始まった。アップルとグーグルのスマートフォンに対応しており、希望者はダウンロードして利用できる。

アプリの活用で新型コロナの感染拡大を防止できることがアジア諸国の実例で明らかになったことから、ドイツ政府は独自アプリの投入を決めた。当初は4月末の始動を予定していたが、個人データ保護に問題があるとの批判が起きたため、プライバシーとセキュリティ保護に強く配慮したアプリを開発した。

「コロナ警告アプリ(Corona Warn APP)」と命名された同アプリは米アップルとグーグルが共同開発した濃厚接触通知アプリ(API)をベースに独IT大手SAPと電気通信大手ドイツテレコムが共同で開発した。インストールしたスマホ同士は近接すると近距離無線通信技術ブルートゥースを通してID番号を交換。利用者の感染が確認されると、近接したスマホ保有者に通知が届き、医師や保健当局、新型コロナホットラインに相談することを推奨される。感染の可能性があると警告を受けるのは、感染者と14日以内に2メートル未満の近距離で15分以上、接触した場合に限られる。

交換したデータは各ユーザーのスマホ内にのみ記録されサーバーなどでは管理されないことから、個人データが流出したり濫用されるリスクは低い。GPSを用いていないため感染者の居場所や行動を追跡することもできない。

同アプリが感染拡大防止効果を発揮するためには60%以上の市民が利用することが必要とされている。ただ、スマホを持たない市民が約2割に上るうえ、利用を考える市民が過半数を割り込んでいることから、現状では同比率に達しない可能性が高い。イェンス・シュパーン保健相は「このアプリを利用する者は皆、自らと他の人を助けることになる」と述べ、インストールを呼びかけた。

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